2017年4月27日木曜日

大逆事件の真実をあきらかにする会による「暗黒の時代に道をひらく「共謀罪」に反対する声明」 Statement against "conspiracy" that opens the path in the age of darkness by Association for clarify the truth of High Treason Incident



暗黒の時代に道をひらく「共謀罪」に反対する声明

2017年4月23日
大逆事件の真実をあきらかにする会
事務局長 山泉 進


 国民の多くの批判にもかかわらず、現在安倍政権による政府は国会に「共謀罪」法案を上程し、与党の数を恃んでこの法律成立を強行しようとしています。しかし、たとえ「テロ等組織犯罪準備罪」云々と名を変えようとも、その本質は憲法違反の言論の自由封殺をもたらす重大な危険性をはらんでいることは明らかです。

 かつて二十世紀の初頭にときの明治政府は、日本社会にめばえた革新的な思想と行動を弾圧し根絶やしにするために、大逆事件という大きなフレームアップをおこないました。代表的な思想家のひとり幸徳秋水とその周辺の社会運動を志す人々に大逆陰謀を企てたという罪を着せ、24名もの死刑判決を下したのです。以後、「冬の時代」と呼ばれる言論封殺の時代が訪れ、その影響は日本の歴史に大きな禍根を残し、1945年のアジア太平洋戦争敗北に至る戦争の道につながりました。
「大逆事件」フレームアップの方法は、まさに無から有をつくりだすものでした。相次ぐ機関誌の発行禁止や警察の監視で言論と行動の自由を奪われた社会主義者・無政府主義者たちが、たまたま訪問し合って歓談したときの座談のなかから片言隻句をとらえて、「大逆謀議」と断定し、その断片を伝え聞いた者まで皆「謀議」に参加したとみなしました。また、人間の平等社会の構築を夢みる彼らの思想の究極の目的は皇室の廃絶に行き着くと断じて、大逆を企図する動機をもっているとして思想そのものを裁いたのです。「共謀罪」の原点ともいうべき事件でした。

 私たちの「大逆事件の真実をあきらかにする会」は、1960年以来半世紀以上にわたってこの歴史の教訓に学び、二度とこうした権力による過ちを犯させることのないように社会に訴える活動を続けています。その立場から、「共謀罪」は憲法の保証する内心・言論の自由という基本的人権を侵害するものであること、またその権力による恣意的な運用、監視社会の到来という危険性を見過ごすことは出来ず、この法案に強く反対するものであることをここに表明いたします。

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