2022年9月16日金曜日

「戦争のことを戦争だと言っただけで、懲役7年」'Sieben Jahre Haft, weil er den Krieg Krieg zu nennen wagte'

 「戦争のことを戦争だと言っただけで、懲役7年」:ロシアで戦争反対を唱えた人に対する弾圧について、ロシアの救援組織アナーキスト・ブラック・クロス(ABC)のメンバーに対するインタビューより(ドイツのアナーキスト新聞『草の根革命』2022年471(9月)号掲載インタビュー記事:Translated from 'Sieben Jahre Haft, weil er den Krieg Krieg zu nennen wagte', in: Grawurzelrevolution, September, 2022, Nr.471, pp.1, 4-5

〔前略〕GWRから質問:数名の活動家たちは今年の初頭にあった反戦集会、もしくはロシアによるウクライナに対する攻撃に反対するさまざまな行動を理由に逮捕されましたね。彼らのうちかなりの人びとが、「不法行為」さらには「テロ」を準備したという理由で逮捕されていました。彼らに対して裁判はありましたか。あるいは、まだ未決拘留中でしょうか。


モスクワABCからの回答:反戦行動を起こした人たちのほとんどはまだ捜査と裁判の最中です。通常ロシアでは捜査に最低でも3ヶ月かかり、その結果を検証する必要がある場合、検事局の審理が1ヶ月かかり、ようやく裁判になります。しかし夏に裁判官や弁護士が休暇を取ってしまうと審理は数ヶ月も延期されてしまいます(右:モスクワで2022年2月24日、戦争開始当日に「戦争反対」のプラカードを掲げて街頭に立つ人びと)。

対テロ法で起訴された場合、1年半の捜査期間があり、裁判は半年かかります。それ以外に、容疑者は精神鑑定を受けるために1ヶ月間精神病院送りになります。この入院は、拘置所よりもひどい状況におかれます。「患者」は自分から入浴することが禁じられ、介護者に洗わせねばならず、外部との接触は一切禁じられています。

これまで反戦行動を起こした15名に対する判決が降りています。その中のいくつかについてわたしたちは全く情報を持っていません。5件については、「国家権力に対する反抗」の判決が下されています。これは例えば警察官に対して反抗したというものであり、抗議集会の場で、あるいは、反戦のシールやメモをどこかに貼ったり、スプレーでグラフィティを書いたというケースが含まれています。さらに、22才のアナスタシア・レヴァーシェヴァについては、警察署に向けて火炎瓶を投げたという理由で懲役二年の判決が下されています。

「フェイクニュース」を広めたという理由から6件の判決が降りています。そのうち1件は罰金100万ルーブル(1万4千300ユーロ:約200万円)、2件は執行猶予、2件は重労働、1件は懲役7年でした。懲役7年はアレクセイ・ゴリノフに対する判決でした。彼はモスクワの地方議員で、「公的な地位を利用して軍隊に対するフェイクニュースを流した」という理由で起訴されたのです。ロシア当局は神経質になっていて、「第五列」、つまり自分たちの内輪にいる裏切り者については即座に嗅ぎつけます。地方議員はロシアでは実質的な力など持っていません。しかし彼の見解は普通の労働者よりは危険視されるわけです。彼は当局の代表と見なされています。捜査結果に基づけば、ゴリノフの犯罪とは、陰謀であり、憎悪と敵対心に基づき、自分の地位を利用した、といわれています。しかしこの犯罪行為とは一体何だったのかわかりますか。それを聞けば誰もが驚きます。地方議会の審議中にゴリノフは、ロシアのウクライナ侵略を戦争と呼び、「軍事的特別行動」と呼ばなかった、ということ、そして彼が、ウクライナでは子どもたちが死んでいる、と発言したことだったのです。

〔前略:GWRから最後の質問〕あなたたちは支援者に対していろいろな側面から支援をしています。そういった連帯行動には時間とお金がかかります。わたしたちはどうやって支援したらいいのでしょうか? 

〔前略〕たとえばわたしたちは6月から57才のイリーナ・ビュストローヴァを支援しています。彼女はカレリアのペトロザヴォツク(写真は、ここで2022年3月に撮影されたものWikipediaより)に住む美術教員です。戦争開始直後、彼女は、銃口をクレムリンに向けなさい、とロシア兵に呼びかけ、また、ロシア軍の行為は犯罪的だ、と訴えた投稿をSNSのVkontaktにしました。3月に彼女は、テロを擁護し、ロシア軍に関するフェイクニュースを広めた、という理由で起訴されました。イリーナは逮捕はされませんでしたが生活行動が制限され、インターネットの利用が、親戚や弁護士との連絡についても禁止されました。もちろん授業もできなくなりました。わたしたちはイリーナを支援するためにお金を集めています。彼女は精神鑑定を受けねばならず、精神病院に入院しなければならなかったのですが、その間、84才のお母さんの介護の費用もわたしたちが負担したのです。
 皆さんは逮捕された人たちに手紙を送ることで、彼らを支援することができます。しかし監獄は、ロシア語で書かれた手紙しか受け付けません。手紙にはウクライナの戦争のこと、あるいは、ラディカルな行動を訴えかける、といったことは書かないでください。手紙はabc-msk@riseup.netにも送っていただいてかまいません。わたしたちはそれをプリントアウトして届けます。
 獄中の人たちに送る食料、そして、弁護士のための費用を支払うために、金銭的な支援が必要です。ロシアの弁護士たちは無料では仕事をしてくれません。しかもかなり高額の報酬を要求するのです。

GWR:インタビューに答えてくれたこと、そして、あなたたちの偉大な連帯行動に心から感謝します。

インタビュアー:Silke、翻訳:Tanja Unger

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