高校の図書室で見つけた一冊の書物――『アナーキズム』(松田道雄 編集・解説)。
この本との出会いがその後の私の思考様式や文学嗜好を決めたように思っています。なかでも面白かったのが埴谷雄高が書いていたエッセイでした。
当時は旧ソヴィエト連邦・旧東欧圏の「共産主義国家」がベルリンの壁とともに崩壊していた頃で、中学生頃から共産主義に共感を覚えていた私としては「あんな国家が社会主義や共産主義であるはずはない」と考えつつも、思想や行動原理としての社会主義や共産主義までも否定されていくのが悔しかった覚えがあります。
そんな絶望的な世界観に陥っていた私は、図書室で出会ったこの『アナーキズム』という本を読み、アナーキズムに何らかの可能性があると思わずにはいられませんでした。
進路の希望も、心理学から社会学、法学、政治学に変わり、最終的には哲学となりました。大学では個人主義的アナーキズムの祖とされるマックス・シュティルナーの研究をし、現在に至っています(SW)。
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