2019年4月18日木曜日

のんきちさんによる栗原康『アナキズム―一丸となってバラバラに生きろ』(岩波書店、2018年)の書評(その1)

 関西アナーキズム研究会では、今回、栗原康『アナキズム―一丸となってバラバラに生きろ』(岩波書店、2018年)の書評をおこなうことになりました。
 この会を立ち上げたときからずっとメンバーで、『アナキズム』誌で「対談」をやったことのある「のんきちさん」から、本書について、個人的にご意見をいただいたためです。まずは、感想を書いていただき、それについて、私(タナカ)からインタビューをする、という形で、「書評」をしていくことにします。
 著者の栗原康さんは、2013年11月15日に東京の明治大学で開催した国際シンポジウム「グローバル・アナーキズムの過去・現在・未来~世界とアジアをつなげるために」で二番目に登壇し「蜂起の思想―大杉栄の米騒動論」というタイトルでお話をしていただきました。
 また、2017年3月4日に東京の明治大学で開催したシンポジウム「アナーキズムから見たロシア革命」では4番目の登壇者として「大杉栄のロシア革命論と現在」というタイトルでお話をしていただきました。
 それ以前から現在まで、栗原さんは、単著・編著だけでも以下の著書を発表されています。

1.『G8―サミット体制とは何か』以文社、2008年。
2.『大杉栄伝―永遠のアナキズム』夜光社、2013年。
3.『学生に賃金を』新評論、2015年。
4.『現代暴力論―「あばれる力」を取り戻す』角川書店、2015年。
5.『はたらかないで、たらふく食べたい―「生の負債」からの解放宣言』タバブックス、2015年。
6.『村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝』岩波書店、2016年。
7.『死してなお踊れ―一遍上人伝』河出書房新社、2017年。
8.『狂い咲け、フリーダム―アナキズム・アンソロジー』栗原康編、筑摩書房、2018年。
9.『何ものにも縛られないための政治学―権力の脱構築』角川書店、2018年。
10.『菊とギロチン―やるならいましかねえ、いつだっていましかねえ』タバブックス、2018年[映画『菊とギロチン』のノベライズ化。映画原作者・瀬世敬久氏による「小説・その後の菊とギロチン」所収]。
11.『文明の恐怖に直面したら読む本』(白石嘉治との共著)Pヴァイン、2018年。
12.『アナキズム―一丸となってバラバラに生きろ』岩波書店、2018年。

 これ以外に、論文やエッセーなど多数書かれていますが、ここでは省略します。次に、著者の略歴ですが、すでにウィキペディアの項目もありますが、ここでは上記の著作の著者紹介の文章をつなげておきます。
 1979年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。東北芸術工科大学非常勤講師。専門は、「アナーキズム研究、労働運動史」もしくは「アナキズム研究」(『アナキズム』著者紹介より)。ATTAC JAPANで、G8サミットなどのグローバリゼーションの問題に取り組む(『G8』著者紹介より)。『大杉栄伝』で第5回「いける本大賞」受賞[2014年]。紀伊國屋じんぶん大賞第6位。2017年[第10回]池田晶子記念「わたくし、つまりNobody賞」受賞。「注目を集める政治学者」。「個性あふれる文体から紡ぎ出される文章は、講談を聞いているのようにリズミカルで必読」(『現代暴力論』『何ものにも縛られないための政治学』著者紹介より)。「長渕剛、ビール、河内音頭が好き」(『菊とギロチン』著者紹介より)。「ビール、ドラマ、長渕剛、詩吟が好き」(『文明の恐怖に直面したら読む本』著者紹介より)。
 
さて、本書『アナキズム』は、以下のような構成になっています。

序章 アナキズムって何ですか? 手に負えない/やることなすこと根拠なし はじまりのない生を生きていきたい/ビラをまいたら、クソしてねやがれ/この酔い心地だけは
第1章 自然とは暴動である―エコ・アナキズムの巻― 風がかたりかける、うまい、うますぎる/野蛮人は気まぐれだ ついでに、おいらはおっちょこちょい/われわれの任務は、「人間化された自然」をぶちこわすことなのでございます/アントロポセン時代の統治 プリウスにのれば、温暖化は解決できる?/エコ、エコってうるせえんだよ/プリウスか、それとも暴動か
第2章 ファック・ザ・ワールド―アナルコ・キャピタリズムの巻 権力の暴走はアナーキー?/おまえはおまえの踊りをおどっているか?―ブラックブロックの精神/あなたもわたしもロケットボーイ サイバネディクスはファシズムの土台である/クリエイティブはぶちこわせなのでございます/棍棒の哲学―ベトナム反戦直接行動委員会の思想
第3章 やられなくてもやりかえせ―アナルコ・サンディカリズムの巻 人間の最も大切な自由は、自分の自由すらぶちこわすことができる自由である/はたらかないで、たらふく食べたい/自分をなめるな、人間をなめるな、信じてくれとことばをはなつまえに、信じきれる自分を愛してやれ、/はたらいたら、鉄拳制裁!?/労働運動は気分である/一丸となってバラバラに生きろ/ようこそ、ファイトクラブへ
第4章 われわれは圧倒的にまちがえる―アナルコ・フェミニズムの巻 弱者は死ぬんだヨォーーーッ!!!/だまってトイレをつまらせろ/結婚制度なんていらねえんだよ! あんちくしょうけっとばし、トンズラしようか/エマ・ゴールドマン、モストをムチうつ/戦争をするというならば、子どもはうまない、ゼロ子ども宣言!/ダンスもできない革命ならば、そんな革命はいらない/不逞じゃねえよ、太えだよ/ひとつになっても、ひとつになれないよ
第5章 あらゆる相互扶助は犯罪である―アナルコ・コミュニズムの巻 東京のバカヤロー!/きみのゲロを食べたい/無政府は事実だ/コミュニズムを暴走させろ/ここが新天地じゃなかったら、どこにも新天地なんてないんだよ/アナーキーをまきちらせ コミュニズムを生きてゆきたい
おわりに
主要参考文献一覧 

 すでに、新聞や雑誌で書評が出ていると思いますが、こちらで把握しているのは、アナキズム文献センター発行『文献センター通信』45号(2018年12月発行)掲載の高橋幸彦さん、46号(2019年3月発行)掲載の相田愼一さんによるものだけです。
 では、まず、のんきちさんの感想をご紹介します。原文はメールでいただいたもので、特に公表を意識していないプライヴェートなものです。しかし、直接会って話した内容も含まれるため、「研究会」のメンバーからの意見という意味では取り上げるべきと考えました(書評本文に続く)。

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